相続手続きの流れ
2024年10月22日
【相続】急に相続が必要になったら?15ステップでわかる相続手続きの流れ
急に相続が必要になった場合、どうすればいいのか?相続の流れを徹底解説
相続は誰にでも突然やってくることがあります。特に、急に対応しなければならない場合、何から始めたらよいのか悩むことも多いでしょう。そこで今回は、相続手続きの流れを15のステップに分けて詳しく説明します。
1. 死亡届の提出
相続手続きの最初のステップは、死亡届の提出です。被相続人(ひそうぞくにん)(亡くなった方)が死亡した日から7日以内に、市区町村役場に医師の発行する死亡診断書を添えて届け出ます。この手続きが終わると、埋火葬許可証(まいかそうきょかしょう)が発行されます。
2. 死後の手続きの準備
相続手続きに必要な戸籍謄本(こせきとうほん)、住民票、死亡診断書などを取り寄せ、必要な書類を揃えます。これらの書類は、今後のさまざまな手続きに必要になるため、早めに準備しておくことが重要です。
3. 葬儀や埋葬に関する手続き
葬儀や埋葬に関する手続きも並行して行う必要があります。葬儀費用は遺産から支払うことができるため、領収書などを保管しておきましょう。
4. 相続人の確認
法律上、相続人が誰かを確認します。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せることで、法定相続人(ほうていそうぞくにん)(配偶者や子供、兄弟姉妹など)が誰であるかが明確になります。
5. 遺言書の確認
遺言書が存在する場合、開封して内容を確認します。ただし、遺言書がある場合は勝手に開封せず、家庭裁判所で検認(けんにん)を行う必要があります。検認は遺言書が法的に有効であるかを確認する手続きです。
6. 相続財産の調査
次に、相続財産(現金、預貯金、不動産、株式など)と負債(ふさい)(借金など)を確認します。これには銀行口座の残高証明書や不動産の登記簿謄本を調査し、財産の全体像を把握します。
7. 相続放棄や限定承認の検討
借金が多い場合、相続を放棄するか、限定承認(財産を超える負債は負わない方法)を検討します。放棄や限定承認は3か月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。
8. 遺産分割協議
相続人全員で遺産をどのように分割するかを話し合います。遺言書があればその内容に従いますが、ない場合は法定相続分を元に話し合います。合意ができたら、遺産分割協議書を作成し全員が署名・捺印(なついん)します。
9. 相続税の申告と納税
相続税の申告期限は、被相続人の死亡から10か月以内です。遺産の評価額が相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の人数)を超える場合、相続税を申告し納税します。
10. 財産の名義変更
不動産の相続登記や、銀行口座、株式などの名義変更を行います。これには相続人の同意が必要です。不動産は法務局、銀行口座は各銀行で手続きを行います。
11. 生命保険や年金の手続き
生命保険金の受け取りや、年金の停止・未支給年金の請求手続きを行います。生命保険金は相続財産には含まれませんが、非課税枠があります。
12. 相続登記や遺産分割調停
不動産の登記を変更する場合、法務局で相続登記を行います。分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所で遺産分割調停を行うこともあります。
13. 専門家のサポート
相続手続きが複雑な場合、専門家(司法書士、税理士、弁護士)の助けを借りることで、スムーズに進めることができます。状況に応じて、プロのアドバイスを受けるのも有効です。
14. 納税や各種支払い
相続税の他にも、不動産の登録免許税や司法書士への報酬など、手続きに伴うさまざまな費用が発生します。これらの支払いも計画的に行うことが大切です。
15. 相続完了
最終的に、財産の名義変更がすべて完了し、相続税の納税も終わったら、相続手続きが完了します。ここまでの流れは、状況により異なることもありますが、基本的なステップとして覚えておくと役立ちます。
ところで
相続についてのイメージは人それぞれですが、多くの方が「親の財産が手に入るから得をする」と考えているのではないでしょうか。確かに、相続財産には土地や建物、現金、預金などが含まれ、自分の手に入れば経済的にプラスになります。しかし、相続財産には負債も含まれるため、実際にはその差し引きによってマイナスになることもあります。
もし、借金などの負債が大きければ、相続放棄を選択することも可能です。しかし、これは相続が始まってからの選択肢であり、高額な借金があることが分かっていれば、生前から相続放棄を検討しておきたいものです。しかし、残念ながら現在の法律では、相続放棄は相続開始後でなければ行えません。
このような理由から、相続についての知識を深めておくことが非常に重要です。相続財産の内容や負債の状況をしっかり確認し、適切な対策を講じることが大切です。相続は決して単純な問題ではなく、慎重に考える必要があります。
次回以降は、相続のステップについて、一つ一つみていきたいと思います。